覗き見 街歩き
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神戸はおしゃれな雰囲気が漂う街として知られるが、その山手では意外にも「イノシシの出没」で悩まされている。でも、神戸のイノシシは信号を守る。信号待ちで停車している私の前を、イノシシが人の流れに合わせて横断歩道をトコトコと歩いて行った。神戸大周辺のイノシシは、夜もきちんと歩道を歩くそうである。早朝に「五毛」というバス停で大きなイノシシが真面目な顔をしてバスを待っていた。大勢のバス待ちの人がいたが、みんな横目でみてクスクス笑っていたそうである。このイノシシがバスに乗ったらニュースになるが、停留所でバス待ちをしている程度なら、この辺りではうわさにもならない。 住民が上品なら、イノシシも上品と思われている。でも、本当のイノシシの恐ろしさを知らないからそんな事が言える。こいつのタックルは成人男性を軽く撥ね飛ばす程の力がある。年に数回、住民がイノシシにはねられるというニュースが新聞に載る。 今年も5月31日午後11時半ごろ、中央区上筒井通の住宅街にある道路で歩いていた25歳の女性が、近づいてきたイノシシに突然襲われ、腹や足をかまれてしまった。近くにいた44歳の男性が助けようとしたが、イノシシはこの男性の足もかんでそのまま逃げてしまった。そのおよそ10分後に、すぐ近くの路上で74歳の男性がイノシシに足をかまれ、さらに、その10分後に、400メートルほど離れた灘区原田通でも、イノシシが、自動販売機で飲み物を買おうとしていた24歳の大学院生に体当たりし、そのまま逃げ去った。4人はいずれも軽い怪我ですんだということである。山麓ではイノシシがたびたび目撃されるが、今回の現場は幹線道路に近い住宅街で、辺りにイノシシが現れるのは珍しい。警察は、4人を襲ったのは同じイノシシとみて周辺をパトロールしたが、逮捕は出来ていない。
そんな訳で、市は、2002年に「イノシシの出没及びイノシシからの危害の防止に関する条例」を制定した。
第1条:
イノシシに食物を与えることを規制し,イノシシの住宅地への出没を防止する。
第2条:
イノシシが危害を加えることについて、市は広報活動を行わねばならない。
第3条:
市民は,第1条の目的を達成するために必要な活動を行う責務を有する。
第4条:
市長は,いのししが出没すると認められる住宅地域を規制区域として指定できる。
第5条:
何人も,規制区域内においては,いのししに食物を与えてはならない。
第6条:
市長は,前条の規定に違反している者に,直ちに中止を指導、勧告することができる。
第7条 :
市長は,第1条の目的を達成するため,情報の提供,助言その他の支援を行う。
イノシシの方でも、できるだけ人には近づかないと云う条例を作くってくれると良いのだが。